中小企業退職金共済は節税対策にはなるが・・・

税金の知識

中小企業退職金共済。略して「中退共」。

中退共とは、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部が設けている中小企業のための国の退職金制度です。って調べると書いてはいるものの、まったくの「?」でした。この制度は中小企業にとって良いものなのかどうなのか、まとめていこうと思います。

中小企業退職金共済とは

中小企業退職金共済とは、「中小企業退職金共済本部」という国の運営する機関に毎月掛け金を支払えば、従業員が退職したときには会社に替わって中退共が退職金を支払ってくれるという制度です。退職金の積み立てと考えると良いかと思います。退職金はまとまった額になるため、会社の規模によっては大きな支出になります。その際の資金繰りを助けてくれるのがこの中小企業退職金共済です。

加入条件

加入できる企業

この制度に加入できるのは以下に示す企業になります。

※常用従業員数とは、1週間の所定労働時間が正社員とおおむね同等であり、雇用期間が2ヵ月を超える方をいいます。個人企業や公益法人等の場合は常用従業員数によります。

加入できる従業員

従業員は原則全員加入となります。ただし、期限を定めて雇用される従業員、試用期間中の従業員、短時間労働者や定年などで短期間内に退職することが明らかな従業員は加入させなくても構いません。法人の役員は原則加入することができません。ただし、従業員として賃金の支給を受けている等の実態があれば、加入することができます。

加入手続き

①加入させようとする従業員の同意を取る

②従業員個々の掛金月額を決定する

③最寄りの金融機関(※ゆうちょ銀行・農協・漁協・ネット銀行・外資系銀行は除く)または商工会議所やTKC企業共済会等の委託事業主団体に必要書類を提出。申込金不要。法人の履歴事項全部証明書必要。

支払いまでの流れ

①事業主が中退共と退職金共済契約を結び、中退共から事業主に従業員ごとの共済手帳が送付される

②毎月の掛金を金融機関に納付(掛金は全額事業主負担)

③従業員が退職した時には、事業主は「被共済者退職届」を中退共へ提出し「退職金共済手帳(請求書)」を従業員に渡す

④退職した従業員が中退共に退職金支払い請求し、中退共から退職金が直接従業員に支払われる

出所:厚生労働省ホームページ

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/taisilyokukin_kyousai/ippanchuutai/

デメリット

利率0

利率は年度ごとに変化しますが、平成31年度の「厚生労働大臣が定める利率」は「0」と定められました。

短期間での退職はマイナス

掛け始めて1年未満で退職すると退職金は支給されません。掛けた分だけ損します。1年以上2年未満の場合は掛金納付総額を下回る額になります。2年以上3年6ヵ月では掛金相当額となり、3年7ヵ月以上からは運用利息と付加退職金が加算され掛金納付額を上回ります。

固定費増

掛金は月額で最低5,000円からです。5,000円から30,000円まで従業員ごとに任意に選択できます。1人当たり年間で最低でも60,000円の固定費増となります。

※短時間労働者(パートタイマー等)は、特例とし2,000円から4,000円の掛金月額でも加入できます。

掛金の減額が困難

掛金を減額することが困難です。減額するには従業員の同意が必要になります。従業員の同意が得られない場合は、現在の掛金月額を継続することが著しく困難であると厚生労働大臣が認めた認定書が必要になります。

懲戒解雇による退職金減額が困難

懲戒解雇して退職金の給付を減額するための手続きが困難です。さらに、退職金が減額された場合でも、その減額分は長期加入者の退職金支払財源にあてられるため、中退共に没収され、事業主には返ってきません。

メリット

税金対策となる

中退共制度の掛金は全額会社の経費とすることができ、年払いも可能なので税金対策になります。

国の助成制度がある

新しく中退共制度に加入する事業主に掛金月額の2分の1(従業員ごとに上限5,000円)を加入後4ヵ月目から1年間、国が助成します。また、掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額する事業主に、増額分の3分の1を、増額月から1年間、国が助成します。

まとめ

手続きは簡単で退職金も中退共が直接従業員に支払うため管理も簡単です。しかし、メリットとデメリットの比較ではデメリットのほうが大きいといえます。

一度加入すると、途中での解約や減額は難しく、毎月の固定費も増額します。2年以上勤務して掛金相当額の退職金支給となりますので、従業員の定着率の低い会社にとってはこの制度は適していません。退職理由が懲戒解雇であっても、中退共の場合は減額が困難であり、たとえ減額したとしても、会社には返金されません。

退職金は給与明細に記載されないので、従業員のやる気向上につながりにくいですし、給与を上げたほうがモチベーションアップにつながるため、目に見える形をとることを優先される企業が多いのではないでしょうか。

利益に直接つながらない制度に本当に加入する必要があるのか、加入前に一度よく考えることをおすすめします。安易に加入すると、その後の制度維持に大きな問題を抱えることになりかねません。しっかりと考えて判断することが肝要かと思われます。

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