中小企業倒産防止共済について

税金の知識

新型コロナウイルス感染症の影響で倒産する会社が増えているようです。もし得意先が倒産してしまったら共倒れになってしまう会社も多いのではないでしょうか。連鎖倒産の最悪のシナリオです。そこで得意先の倒産による連鎖倒産のリスク回避と節税を同時に達成することができる節税方法をまとめました。連鎖倒産のリスクが回避できながらも、節税もできるのですか?はい。できます。それが「中小企業倒産防止共済制度」です。会社の将来は他社任せではなく、自社で切り抜けていく体力が欲しいですよね。

中小企業倒産防止共済とは

取引先の倒産によって連鎖的に中小企業が倒産または経営難に陥らないようにするための共済制度です。経営セーフティ共済とも呼ばれます。

加入条件

1年以上事業を継続している中小企業者であることが条件となります。加入要件は、製造業・卸売業・サービス業・小売業などの対象業種ごとに資本金や従業員数の範囲が決まっています。

掛金について

倒産防止共済の掛金は月額5千円から20万円までで、その範囲に収まっていれば5千円単位で自由に設定できます。掛金は途中で増やしたり減らしたりすることができ、積立て総額の上限は800万円です。

なお、掛金を一括で前納すると、1ヶ月あたりの掛金が0.005%割引されます。

解約について

倒産防止共済の解約は、契約者の任意でいつでも解約可能です。掛金をすでに12ヶ月以上納付している場合、納付月数に応じた解約手当金がもらえます。

4つのメリット

メリット①無担保・無保証人で掛金の10倍まで借入れ可能

共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」のいずれか少ないほうの金額となります。

メリット②取引先が倒産直後に借入れできる

取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。

メリット③掛金の税制優遇措置が受けられる

掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、自分のタイミングで増額・減額できます。また確定申告の際、掛金を損金算入できる(個人事業主の場合は必要経費にできる)ので節税効果があります。

メリット④解約手当金が受けとれる

自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります。12か月未満は掛け捨てとなります。

3つのデメリット

デメリット①解約による元本割れ

解約すると、解約手当金として納付月数に応じた額が払い戻されますが、40ヶ月未満だと元本割れします。納付月数が12〜23ヶ月だと80%支払われる一方、12ヶ月未満で解約すると0%となるため要注意です。

デメリット②解約手当金の課税

倒産防止共済の掛金は経費計上できますが、解約する時に戻ってくる解約手当金は所得として扱われ課税の対象となります。つまり、納付時点では節税できるものの、返還時には税金を納める必要があるため、税金を納める時期を調整できるというのが厳密な意味でのメリットと言えます。

デメリット③貸付金の10%が掛金から控除

共済金の貸付けは無利子ですが、貸付額の10%にあたる額が掛金から控除されます。例えば、取引先の倒産などで売掛金の回収が困難となり800万円の貸付けを受けた場合、80万円がすでに納付した掛金から減らされます。さらに、控除された分の掛金は将来的な権利も失われるため、実質的には利子を前払いしているようなものです。

まとめ

倒産防止共済のポイントをまとめると、以下のようになります。

・倒産防止共済とは、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐことができる共済制度である。

・任意で設定できる掛金は経費計上できるため節税になる。

・取引先が倒産していなくても臨時で一時貸付金を受け取ることができる。

倒産防止共済は、上手に利用すれば節税や資金繰りの手段として有効です。デメリットも踏まえつつ、不測の事態に備えて加入を検討してみることをお勧めします。

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