不渡りって言葉は知っているけど説明できない人多いのでは?

経済の知識

不渡り猶予要請のニュースを聞いたとき「不渡り」って言葉は知っているけど、あまりよく知らないことに気づきました。そこで不渡りについて調べたことを折角なので記事にしてまとめておきます。

不渡りとは

なんらかの理由で手形や小切手が決済できず現金にできないことをいいます。不渡りを出すと場合によっては銀行取引停止となり、不渡りの事実が不渡報告として掲載され銀行に通知されます。そのためその会社の信用が大きく低下してしまいます。

即倒産にはなりませんが、資金繰り等の面でその後の経営が困難になることもあります。

手形と小切手について

「手形」「小切手」は普段の生活で扱う機会がなければ、どのようなものか説明が難しいのではないかと思います。

手形・小切手を一言で言うと会社間の取引に使われる「有価証券」です。

手形・小切手に必要事項を書き込み、相手に渡し(振出人)受け取った側が手形・小切手を銀行に持ち込むと(受取人)銀行は振出人の「当座預金口座」から現金を支払います。

手形と小切手は現金化できる点では一緒ですが、実は現金化できるタイミングは違います。

手形・・・記入された期日以降でなければ現金化できない
小切手・・・振出金融機関であれば受け取った直後から現金化できる

当座預金口座について

口座で馴染みがあるのは普通預金口座かと思います。普通預金口座は個人が普段から利用する銀行口座ですが「当座預金口座」会社や個人事業主が業務に用いる口座となります。手形・小切手を用いるには当座預金口座を開設しなければいけません。

この当座預金口座の残高不足不渡りの主な原因です。残高不足では受取人が手形・小切手を銀行に持っていっても決済できません。このことを「不渡り」と呼びます。

振出人の視点では「不渡りを出す」ということになります。

不渡りを起こす原因

残高不足の他にも不渡りを起こす原因はいくつかあり3種類に分けることができます。

0号不渡り

現金化を求める期間を「呈示期間」といって、受取人が銀行に対して現金化を求めることができる期間が定められています。

手形・・・支払期日とそれに続く2日間
小切手・・・振出日の翌日から10日間

この呈示期間を過ぎてしまっているものや記載ミスのような不備があるものを「0号不渡り」と言います。0号不渡りは振出人の信用に起因するものではないため、銀行取引停止にはなりませんし、「不渡届」の作成も行われずいわゆる「不渡り」の扱いは受けません。

1号不渡り

いわゆる「不渡り」とは、この「1号不渡り」のことです。当座預金口座に十分な残高がなくて支払いが行えない場合を指します。

振出人が当座預金口座を解約したといった理由で、その銀行と取引がない場合も1号不渡りになります。これは振出人の信用力にかかわる問題ですので、不渡り処分を受けることになります。

2号不渡り

0号不渡りにも1号不渡りにも相当しないものはすべて「2号不渡り」に区分されます。盗難による手形や詐欺による手形や偽造・変造された手形等が2号不渡りに相当します。

商品代金として手形を振り出したが商品が納入されなかったといった契約不履行が原因の不渡りも2号不渡りになります。

2号不渡りでは「不渡届」は作成されますが、支払いに充てる資金不足の問題ではないので「不渡届」に対し「異議申し立て」を行うことができます。

不渡りを出すとどうなるのか

不渡りを出すと不渡届が出され不渡報告に掲載されます。手形・小切手の不渡りを出してしまうと金融機関が手形交換所に「不渡届」という書類を提出します。不渡届を受け取ると手形交換所はその内容を「不渡報告」に掲載し加盟銀行に通知します。

なぜ通知するかというと、不渡りを出した個人・法人が別の銀行から返済の見込みのない借入を行うようなことを防止するために信用力について銀行に注意を促すのが目的です。

一度目の不渡りで受ける不渡り処分

「1号不渡り」を出した場合、一度目であれば振出人は「不渡り処分」を受けます。

「不渡報告」に不渡り処分を受けたという情報が掲載され加盟銀行に通知されます。それ以外の処分はなく、当座預金口座を使った取引をこれまで通り続けることができます。しかし信用力は大きく低下するため、新たに融資を受けるのは難しくなり、資金調達等の経営面で厳しい状況になることも考えられます。

二度目の不渡りで銀行取引停止処分

6ヶ月以内に二度目の不渡りを出すと、一度目よりも重い「銀行取引停止処分」を受けることになります。この処分を受けると借入や当座預金口座を使った取引が2年間できなくなります。

銀行から融資を受けることもできませんし、手形や小切手を使うこともできなくなります。信用力への影響はとても大きく、事業の継続が困難になって倒産につながることも少なくありません。

そのため二度目の不渡りは「事実上の倒産」とみなされることが多いようです。

まとめ

「不渡り=倒産」ではないのですが、不渡りを出せば取引先から信用力が低いと判断されることになります。R2.4.16付で金融庁と日本銀行は、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して、不渡り処分を当面猶予する特別措置全国銀行協会(全銀協)に要請しました。

一体どのくらいの会社が猶予されたのか興味があろうかと思います。興味ある方は以下の記事をご覧ください。

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