残価設定ローンとは~自分にマッチした車の支払い方法の選択~

経済の知識

マイカーの保有方法は購入に限らず、リースやシェア等バリエーションが増えてきています。物の保有に対する価値観の広がりが影響しているかと思われます。購入方法もキャッシュで一括の方もいらっしゃるかとは思いますが、多くの方がローンを組んでいるのではないでしょうか。ローンはまとまったお金が準備できなくても、ローンを組めば大きな買い物ができるのが魅力の1つです。このローンについても様々なバリエーションがあります。

今回は「残価設定ローン」についてまとめていきます。保有方法にこだわりがなくて、毎月の支払いを安価におさめたい方にはお薦めのローンです。また、3~5年で定期的に新車を買い替えて乗り継ぎたい人にはよりお薦めのローンです。

残価設定ローンの仕組み

まずは残価設定ローンの仕組みを解説していきます。残価設定ローンは「残価」と呼ばれる車両代金の一部を最後の支払いまで残してローンを組み、最後の支払い月に使用した車を返却することで、その支払いに充当させるローンのことです。

言葉にすると難しく感じるかもしれませんが、使用した車の最終的な価値を事前に設定して、その価値分を月々のローンから割り引いて計算する方法です。

「次に車を買い替えるときの下取り分を購入時に差し引いて、残りの金額を分割で払う」と考えるとわかりやすいかと思います。ローンが終わった時に手元に車が残らないかわりに、毎月の支払額を少なくできるのが最大のメリットと言えます。

残価設定ローンの比較例

例を表にまとめました。

設定:車両代金180万円 
頭金:なし 
※購入諸費用とローン利息は例なので含めていません

一般的なローンであれば、返済が5年(60ヶ月)ローンの場合は月々の支払いは180万円÷60ヶ月=3万円、3年(36ヶ月)ローンであれば月々5万円となります。

払えなくないと言えば妥当な金額ですが、できれば月々5万円引かれるのは痛いですよね。一方、残価設定ローンの場合は、180万円から残価分を「最後の支払い」として差し引き、残りを毎月支払います。

3年払いで残価を「50%」として計算すると、3年払いだと180万円の50%である90万円を35回に分けて支払うので月々約2万5700円となり毎月の支払額が抑えられます。
5年払いで残価を30%とした場合は、180万円の70%となる126万円を59回に分けて支払うので、月々約2万1300円となります。月々の支払いを抑えつつ、高額な車に乗ることができる。それが残価設定ローンなのです。文章では難しいため表にまとめました。

残価設定ローンの注意点

① 「車は手元に残らない」

現金購入や一般的なローンは最終的な車の保有者は購入者になります。残価設定ローンでは、ローン返済終了後には車は手元に残りません。ローン終了後に車を返すことを前提とした支払方法だからです。

どうしても使用した車を保有したいのであれば、車を返却せずに残価分を支払うことで、車を手元に残すことも可能です。しかしその場合、利息として支払う額が増えることになるため、一般的なローンに対する残価設定ローンのメリットはなくなってしまいます。条件によっては、一般的なローンよりも支払いが増えることもあるかもしれません。

したがって、1台の車に長く乗ろうと考えている人は残価設定ローンは考えない方が良いかと思います。3~5年で安価に返済し、契約が終われば次の新しい車に乗り換えたい人には打ってつけの支払方法です。

②「契約内での乗り換え」

一般的に残価設定ローンでは、ローンの支払いが終了する前に車を乗り換えることになった際、残りの金額を完済することが必要となります。同じメーカーの車に乗り換えるのであれば、支払いが終了する前に可能なこともありますので事前に確認が必要となります。

③「車両の使用制限」

車を返却する必要があるため、車の使用には一定の制限が設けられています。走行距離の制約では、1ヵ月の走行距離が平均1,000km以内等と決まっていて、車を返却する際に超えてしまっていると、車の査定額が下がり、追加で支払う必要が生じてしまいます。したがって走行距離が多い人には向いていないかと思われます。毎日30km×30日=900kmですので、自身の運転頻度等を見ながら検討されてみてください。

また、車体に傷等のダメージが一定以上あったり、事故を起こしてしまえば、車両の価値が下がった分だけ追加の支払いが必要となります。

④「残価保証の有無」

「残価保証の有無」は気をつけなければいけません。残価保証とは「ローン終了時の車の価値(残価)は、車に問題がない限りはあらかじめ設定した額を保証します」という意味です。一般的に国産メーカーの残価設定ローンであれば残価保証はあります。しかし、輸入車では残価保証がないこともあります。その場合はローン終了時の車の価値と当初の残価設定額との間に差があれば、追加でお金を支払わないといけなくなります。この差に関しては、ローン終了時に車そのものに問題がなかったとしても発生してしまいます。大きな額になりますので、残価設定ローンを使う際は「残価保証」があるかないかをしっかり確認することがとても重要となります。

⑤「法人の利用は税額が上がる可能性」

法人として残価設定ローンを組む場合は、実際の車両価値と残価の代わりとして車両を手放す金額との間に差が生じてしまいます。その結果、経理処理上で利益とみなされ、税金が増す可能性があることに注意が必要となります。したがって法人は残価設定ローンよりもリースの方が良いかと思われます。

残価設定ローンはどのような人にメリットがあるのか

残価設定ローンは以下のような人にはメリットがあると言えます。

●3~5年で車を乗り換えたい人
●走行距離が1日平均30kmの人
●車を丁寧に乗る人

逆に言うと

●1台の車に長く乗り続けたい人
●走行距離が月100kmを超える人
●事故が多い人

等は、残価設定ローンのメリットが少ないと言えます。毎月の支払額を格段に減らせることが最大の魅力です。3~5年で乗り換えたい人は月々の支払いも抑えられますし、3~5年周期で新しい車を使用でき、気分も一新できるため利用する価値は高いのではないでしょうか。

まとめ

残価設定ローンの特徴とメリットをまとめてきました。様々なローンがある中で種類を知ることによって、自分にマッチした支払いの選択につながります。知ることって大事ですよね。相手に合わせるよりも自分にマッチしたものが目の前にあるのであれば、選ばない手はないですよね。過剰なストレスなく支払いできるため、人生も豊かになるのではないでしょうか。

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