不要になった固定資産は、廃棄費用だけで莫大なコストがかかってしまう場合があります。なんとかこのコストを削減できないか。このコストを有効活用できないか。廃棄物がある会社は気になっていることと思います。それを実現してくれるのが「有姿除却」という考え方です。今回はこの有姿除却の節税についてまとめます。
除却損
通常は、実際に不要になった固定資産を廃棄処分した上で、その資産の価額を「除却損」として損失計上することになりますが、工場の大型機械などは廃棄処分するだけで莫大なコストがかかってしまいます。 長い間会社を運営していると、固定資産の中には、使用不能になったり、実質的に稼動しなくなった設備等が出てきます。このような固定資産を決算で損金計上できる節税方法があります。
有姿除却
決算日の後でも損金算入できる「有姿除却」という方法があります。姿があるまま償却するため「有姿除却」と言います。この方法は、会社から資金が流出することもなく、さらには決算日の後でも損金として計上できるので、決算で利益が多く出すぎているような時には、有姿除却できるものがないか探して、利益を抑え節税に繋げたいですね。 ローリスクで節税というリターンを得る方法です。ただし、有姿除却が認められるためには、いくつか税法上の条件があります。
有姿除却が認められるケース
国税庁第7節 除却損失等 第1款 除却損失等の損金算入によると
7-7-2 次に掲げるような固定資産については たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等を していない場合であっても、 当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を 控除した金額を除却損として損金の額に 算入することができるものとする。 (昭55年直法2-8「二十五」により追加)
(1)その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
(2)特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
とあります。
有姿除却の際の注意点
使用を廃止したと言いながら、その後一度でも使用することは論外です。有姿除却は当然不可となりますので、その後の使用の可能性がある場合は有姿除却できません。
今後使用する可能性がないことを具体的な書面で残しておくことが重要です。
例えば、工場で使用していた機械であれば、
・製品のモデルチェンジ ・新たな機械の導入による維持コストの高騰 ・機械そのものが故障がち
こういった理由により、今後その機械を使用する可能性が極めて0であるということを書面で残すと良いかと思います。
有姿除却の計算方法
鉄くず等のスクラップ品を決算で処理するためには、スクラップの価値を決めておく必要があります。このスクラップの価値は「貯蔵品」として会計処理されます。
例えば、帳簿価額1000万円の備品の鉄くずの価格が50万円だとすれば、貯蔵品として50万円を計上し、「固定資産除却損」として950万円(備品の固定資産額-貯蔵品)を計上することになります。
まとめ
使う予定がないけど捨てるのにはお金がかかる。今年度、利益が見込めるため損金算入したい。そんな時に有効な節税「有姿除却」。大きなものも小さなものも会社の中を探してみましょう!
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